フィラリア予防薬の種類(犬)

フィラリア予防薬の中にはいくつかの種類があります。
今回はそれぞれのフィラリア予防薬のメリット・デメリットについて書いていこうと思います。

そもそもフィラリアとは?
フィラリアをもつ蚊に血を吸われたときに感染し、心臓に寄生する寄生虫です。
元気・食欲の低下、咳、体重減少、呼吸が苦しそうなどの症状があげられ、進行すると腹水貯留や血尿などがでてきたりします。
しかし、初期はあまり症状が目立たないため、気が付いた時にはだいぶ進行してしまっていることも少なくありません。

フィラリア症は予防薬で防げる病気です。
地域によっては予防薬のおかげでフィラリア症のわんちゃんを見かける機会はぐっと減っているかと思います。
しかし、今住んでいる地域にフィラリア症の犬が少ない=感染しないわけではありません。
新幹線などの移動手段だったり、宅配便の荷物にくっついていたり、フィラリアを持つ蚊がいつどこからやってくるかはわからないのです。
また、完全室内飼育だから大丈夫ということもありません。
蚊の侵入を100%防ぐことは非常に難しく、それができない限り感染の可能性は否定できないのです。

今回はわんちゃんのフィラリアについてお話していきますが、最近はねこちゃんでもフィラリアの感染が確認されています。
ねこちゃんのフィラリアについてはこちら

フィラリアの予防薬には以下のものがあります。
1.飲み薬
おいしいおやつタイプや、ノミ・マダニもセットで予防できるおやつタイプ、錠剤タイプなどバリエーションに富みます。
楽しくおいしく食べれるおやつタイプが人気ですが、味やにおいが口に合わず食べてくれない子には錠剤タイプの方が与えやすいこともあります。
また、おやつタイプではアレルギー反応がでてしまうわんちゃんには錠剤タイプがおススメです。
毎月一度の投薬が必要です。
メリット
・バリエーションに富み、わんちゃん一人一人やご家庭に合わせた選択がしやすい
・ノミ、マダニも一緒に予防できるおやつタイプがある
・おやつタイプを喜んで食べてくれる子には、人にとってもわんちゃんにとっても楽しい時間になる

デメリット
・おやつタイプはアレルギーを持っているわんちゃんには不向きな場合がある
・投薬が難しいわんちゃんに与えるのは大変
・毎月投薬が必要

・飲み忘れる可能性がある
・通年投与していない限り毎年フィラリア検査が必要

2.たらす薬
首の後ろの毛をかき分けて垂らすお薬です。
ノミの予防は一緒にできますが、マダニの予防はできません。
口からの投薬が難しいわんちゃんにいいですが、まれにお肌に合わない子がいます。
毎月一度の投薬が必要です。
メリット
・投薬が難しい子にも垂らすだけなので簡単
・ノミの予防も一緒にできる

デメリット
・マダニの予防が一緒にできない
・敏感な子では肌に合わない可能性がある
・毎月投薬が必要

・つけ忘れる可能性がある
・通年投薬していない限り毎年フィラリア検査が必要

3.注射薬
他の方法と異なり、唯一年に一度の投薬で済みます。
また、一年間効果が継続するため翌年のフィラリア検査も必要ありません。
デメリットとしては、病院によっては注射できる期間が決まっていること(当院では3月~開始ですが、薬がなくなり次第終了です)と、まれにアレルギー反応をおこすことがあること、接種時の注射針が太いことです。
メリット
・年に一度の接種で予防が終了
・一年間効果が続くので飲み忘れなどの心配もなし
・一年間効果が続くため、翌年のフィラリア検査は必要なし

デメリット
・ノミ、マダニの予防薬は別に必要
・時期によっては注射できない場合がある
・まれに接種後にアレルギーを起こす子がいる
・ほかのワクチンの注射に比べると注射針が太い

・体重変動が大きい子には打てないため、子犬には使えない

昔に比べてフィラリア予防薬の選択肢は増えました。
ご家庭やわんちゃんにあわせた選択がしやすくなりましたので、ぜひ参考にしてくださいね